今月(2020年11月)のトピックス&お役立ちリンク先
今月のトピックス
[1]税制改正にともなう年末調整の変更点
今年の年末調整では、基礎控除・給与所得控除・合計所得金額要件の変更、所得金額調整控除の新設、寡婦(夫)控除の変更、ひとり親控除の新設など、多くの変更点があります。また、それにともない各種申告書等の様式も変更されています。年末調整の申告書回収を進める前に、変更点を整理し、従業員からの問い合わせに対応できるようにしておきましょう。
■参考リンク:国税庁「令和2年分 年末調整のしかた」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm
[2]年末調整の電子化
今年の年末調整から、これまで書面で提出を受けていた生命保険料や住宅借入金等の各種控除証明書について、電子データによって提供を受けることができるようになります。なお、電子データによる手続きを行うためには、税務署への届出や従業員への周知など事前の準備が必要です。
■参考リンク:国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm
旬の話題
育児・介護休業法施行規則が改正され、2021年1月より子の看護休暇と介護休暇について、時間単位で取得できるようになります。そこで今回は、改正のポイントと運用における注意点をとり上げます。
現行の子の看護休暇と介護休暇(以下、「看護休暇等」という)は、1日単位だけでなく、半日単位(1日の所定労働時間が4時間以下の従業員等は除く)での取得ができます。この看護休暇等について、2021年1月より時間単位での取得ができるようになります。
対象は原則としてすべての従業員ですが、業務の性質や実施体制に照らし、1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する従業員については、労使協定を締結することにより、時間単位での取得の申出を拒むことができます。この際、一律に1日の所定労働時間が4時間以下の従業員であることをもって、時間単位で取得できる従業員から、除外する取扱いとすることは適当ではないとされています。所定労働時間の長さではなく、業務の性質や実施体制に照らして、1日未満の単位で休暇を取得することが困難であるかの判断をする必要があります。
なお、この時間単位での取得は、始業時刻または終業時刻と連続して取得できるものとすることが原則とされており、労働時間の間で休暇を取得するいわゆる「中抜け」を認める必要はありません。ただし、この中抜けを、法令を上回る制度として認めることは可能です。
以下では運用における具体的な注意点についてとり上げます。
休暇の途中で休憩時間にさしかかる場合
例えば所定労働時間が午前8時30分から午後5時(休憩正午から午後1時)の場合、始業時刻から4時間の看護休暇等を取得すると、休暇の途中で休憩時間にさしかかります。このような場合、休憩時間に休暇を取得することはできませんので、実際に労働に従事することとなる時間帯で取得することになります。つまり、この例では、午前8時30分から正午と午後1時から午後1時30分の合計4時間を休暇として扱います。
終業時刻に近接した時間帯に取得する場合
例えば所定労働時間が午前9時から午後5時45分(正午から午後1時が休憩)の場合、終業時刻につなげて1時間の看護休暇等を取得したいという申し出があった場合、午後4時45分から午後5時45分までの1時間が看護休暇等になります。
このようなケースで、実際には、従業員が午後5時まで勤務し、午後5時から午後5時45分まで休暇を取得することが考えられますが、例え取得した時間が1時間に満たないとしても、1時間の看護休暇等を取得したものとして処理して差し支えないとされています。ただし、看護休暇等を無給としている場合、実際に休暇を取得した時間分の賃金を控除すること(このケースでは45分)になり、その時間を超えて控除することはできません。
半日単位での制度を残す場合
今回の改正により、半日単位での取得ができる現行の制度を残す必要はありませんが、引き続き可能とする場合には、1日分をすべて時間単位で取得する場合と比べ、従業員にとって不利益な制度や運用とならないようにする必要があります。
例えば、1日の所定労働時間が8時間の場合で、午前の半日単位を3時間、午後の半日単位を5時間と定めており、午前の休暇を2回取得した場合、計6時間の休暇を取得したことになりますが、これを1日分の休暇として扱うことは運用上、問題となります。理由としては、時間単位(時間単位休暇8時間分で1日分の休暇)で取得する場合と比べ、2時間分の休暇が取得できなくなるからです。
労使協定の締結
改正後にも半日単位での制度を残しつつ、時間単位での制度を導入する場合、半日単位で看護休暇等の取得の申出を拒む従業員を労使協定で定めており、改正後においても時間単位で看護休暇等の取得の申出を拒む従業員を定めることが考えられます。労使協定を締結する際には、半日単位で看護休暇等の取得をすることが困難と認められる業務と、時間単位で看護休暇等の取得をすることが困難と認められる業務の範囲が異なる可能性があるため、時間単位での取得の申出を拒むものの、半日単位での取得は認めるといった制度の弾力的な利用に対する配慮が会社には求められます。
現行、半日単位での取得の申出を拒む労使協定が締結されている場合でも、時間単位での取得の申出を拒む場合には、これらを検討の上、労使協定の締結を再度行う必要があります。
新制度は2021年1月より施行されるため、これより前に、看護休暇等を規定している就業規則(育児・介護休業規程等)を変更し、労使協定の再締結や勤怠システムの改修を進めておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
【お役立ちリンク先】
神奈川労働局(各種法令・制度・手続き)
東京労働局(各種法令・制度・手続き)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp
東京社会保険協会( 社会保険のしくみ(広報活動) )
http://tosyakyo.or.jp/kouhou/shinpou/index.html
労働問題判例集
http://www.ne.jp/asahi/morioka/masato/roudou.htm#sa
労働関連法令検索
http://www.jil.go.jp/rodoqa/hourei/rodokijun/index.html
労災指定医療機関検索
http://rousai-kensaku.mhlw.go.jp
事業場における健康づくり・メンタルヘルスケア・快適職場作り(中災防)
【主要書式ダウンロード】
労働基準法関係書式→
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/
労災保険法関係→
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/rousaihoken06/
労働保険法関係→
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yousiki.html/
安全衛生法関係→
雇用保険法関係→
https://hoken.hellowork.go.jp/assist/600000.do?screenId=600000&action=initDisp/
社会保険関係書式(日本年金機構)→
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/ichiran.html/
全国健康保険協会書式→
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/
キャリアアップ助成金書式→